川魚の稚魚を飼う 1

日本の川に多い魚。川面にキラッと柳の葉のような魚影がきらめいたら、このいずれかの魚である場合が多いでしょう。 1999.7月採集


 我が家の60cm水槽はヨシノボリ水槽(しかも1cm強の稚魚3匹)となっていて、他はスジエビなど底物ばかり。見た目に寂しいから中層を泳ぐ魚も見たいという事で、またしても(ヨシノボリ稚魚の採集に続いて)60cm水槽にお似合いのちりめんじゃこ程度の稚魚を探しに川へいきました。

後から来た稚魚(左)と最初の1匹(右)
流木の左下には スジエビが生息
 まず1匹、渓流というほどでもないけれど山に近い川で、1.5cm程度の小魚を1匹だけ選びました。
おなじ週、流れのゆるやかな支流のほうで、名前もわからない針のような小魚がたくさん群れているところを、3匹えらんで連れて帰りました。

はじめ、手ですくう予定があまりにすばしっこく、つい網ですくってしまったのがこたえたのか、1匹がひどく弱ってしまいました。
なんとか数日で復調し、ほっと安堵しましたが、やはりこういった小魚を網で水からすくいあげるのは禁物です。

 1週早く採集した1匹と後から追加した3匹は、はじめは同種に見えたのですが、そだつにつれて体の側線の色がはっきりしてきたり、翻った時の鱗の輝きが違ったり、口の大きさが違ったりという差が見えはじめ、2~3週間後には素人目にも別の魚だとわかるようになりました。

後から来た3匹はハス
稚魚の魚種と特徴

  稚魚の正体がわかるまで、オイカワ、カワムツ、ハヤ、アブラハヤ、モツゴ、ウグイなど、色々想像をめぐらせましたが、少し育つと「カワムツ」と「ハス」である事がわかりました。

 カワムツは側線の様子や口が大きいこと、ヒレの色などで恐らくと見当をつけました。
 ハヤ(写真の3匹すべて)はエサをとる時に身を翻すと、小さなフラッシュを何度も焚いたようにキラッキラッと輝く事、非常に細かい鱗におおわれ、全身が銀メタリック一色である事、顔や口の形(への字に結ばれている)、柳の葉のような体型などで判断しました。

カワムツ稚魚(上)とハス稚魚(下)
 3ヶ月程でカワムツ(写真の上側の魚)はハスにくらべると体高も高くなり、性格にも大きな差を見せ始めました。貪欲で、なわばり意識も強いようです。ハヤ達と群れているかと思えば、追い飛ばしたりしています。
 エサは定番「キョーリン教育飼料 メダカ・タナゴ・フナのエサ」(200円)です。よく食べますが、たまにおやつがわりにほんの少し砕いて与えている、肉食底棲魚用のヒカリ「キャット」は、この4匹に大人気です。
 ただ、同居のスジエビ達にも「キャット」は人気がありますので、せっかく口にくわえても、落としたら最後、ハサミでつかんで走って逃げてしまいます。
 こんな時、カワムツは執念を見せます。エサを奪われたあとも根気よく相手の隙をうかがい続け、エビが口元からすこしでもエサを離そう物なら、すかさずアタックしてエサを奪還するのです。